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2学年○組  技術・家庭科学習指導案

1. 題材名    バランスのとれた献立と食品の選択〔A(1)ウ(2)ア B(4)ア〕

2.題材について
(1)題材観
 近年、ファーストフードなどの外食産業の発展、及び加工食品製造技術の向上により、我々の食生活は大いに変動を遂げた。今や、家で調理したものを摂取するのと同様、それ以上に外食、加工食品(主に調理済み食品)を摂取している現実がある。加えて、おびただしい種類の健康食品や、安価に入手できるようになったサプリメントの類、輸送経路の充実により、すぐにいつでも手に入る産地直送の食品類etc....と食生活におけるIT革命である。つまり、例えば、スーパー、デパート、専門店など、どこへ行っても日本各地だけでなく、世界各国から運ばれてきた様々な食材であふれている。豚肉ひとつとっても、鹿児島産の黒豚とか、SPポーク、「飼料には遺伝子組み換えのものは使っておりません。」という表示のあるものなど多種多様である。さらに「栄養補助食品」「サプリメントビタミン」「添加物」「ダイエット食品(ガルシニア、ギムネマ、キトサン)」等の用語、食物や栄養について、テレビ番組や新聞記事、様々な食品会社からでている食品の広告など、我々のまわりには、様々な情報が氾濫している。そして、いくらでもそれらを簡単に手に入れることができる時代である。善し悪し、正しい正しくないかは別として。
 そのことは中学生にとっても例外ではなく、ましてや成長期の真っ只中にある彼らにとって、健康な身体の形成にただならぬ影響を及ぼす要因となる可能性も考えられる。例えば、下校後、塾へ行く前にドーナッツ店で、ドーナッツと炭酸飲料を摂取し、夕食は夜遅く、食べたいものだけ食べて寝てしまう。朝は、食べる意欲がわかず、サプリメントビタミンを飲んで登校…このような中学生も案外身近にいるかもしれない。
 このような時代だからこそ、中学生である彼らには、食生活を大切にし、元気で、活力のある生活を営んで欲しいと考えている。そのためには聞きかじりで、断片的な情報や物に振り回されるのではなく、正しい知識を身につけ、賢く判断して、食品を選択し、栄養のバランスを考えて食物を摂取できる能力を養わせ、実践していく態度を育てていきたいと考えている。つまるところ、食物を摂取する際に、何も考えずに、あるいは、好きなものばかり食べるというのではなく、体に必要な栄養を必要量食べる、さらにそれらの食品を自分で選択し、購入できる、そういう力を育てていきたく本題材を設定した。
 また、調理実習では、基本的な調理技能の習得はもとより、一食分の献立バランスを常に考えさせたり、作業効率をはかる調理器具を使用する場面を増やすようにしている。実習の中ででるゴミは、分別し、再利用できる物は、他の題材で活用するようにしている。2学年で、A.「生活の自立と衣食住」(1)(2)を学習し、(5)へ発展させていくよう指導計画を立てた。また、B.「家族と家庭生活」(4)アについてPCソフトを活用し、食品の選択と購入の学習を通して、指導するよう計画した。
 このように食の学習を単なる知識の伝達、調理技術の習得に終わらせることなく、彼らが生きていく上で、ベースになる学習内容であるということに根底をおき、日々努力して、指導していきたいと考えている。

(2)生徒の実態
 学習するに当たり、以下の予備調査を実施した。主旨として、彼らが食生活に関して、どれくらい身近なものとしてとらえているか、また、普段摂取している食品について、どれくらい関心があるか確認するためである。

《予備調査の結果》
1.食べることは楽しみですか。 2.栄養について気になりますか。
 楽しい          
 ふつう         
 あまり楽しくない  
82%
15%
 3%
  けっこう気になる       
  まあ気になる       
  あまり気にならない   
  全然気にならない    
 
 9%
18%
51%
22%
3.夕食などの材料を買いに行くことはありますか。 4.例えば、スーパーの食品売り場では、どこに何が、置かれているかだいたいわかりますか。
  1週間に2〜3回位行く。  
  1週間に1回くらい行く。   
  まず行かない。        
 3%
32%
65%
   けっこうわかる。        
   菓子など自分の興味のあるものはわかる。
   よくわからない。      
 
50%
18%
32%
5.菓子ではなく、食事の献立の中で、人に頼らず、本を見ながらでもよいけれど、自分で、  何か作ることのできるものはありますか。 6.料理を見て、ある程度、栄養バランスがよいとか、片寄っているとかわかりますか。
   5品以上OK         
   2〜3品程度         
   1品             
   すべて自分で作るのは無理
21%
48%
21%
10%
   けっこうわかる
   なんとなくわかる  
   あまりよくわからない
   よくわからない   
 6%
26%
35%
33%

《考察》
 食べること、食べるものについて、興味関心が高く、料理を作ることも好きな傾向にある。また、買い物に自分で行くことは少ないようだが、スーパーの食品売り場のレイアウトを7割近くの生徒が把握していることから、食について、全く人(親)まかせではないと判断できる。他のクラスも同様の傾向にあった。しかしながら、他のクラスとの相違として、2の1は、栄養面について、若干興味関心が低く、知識も乏しいと推察される。つまり、食べることはとても好きで、食材にもけっこう関心が強い反面、それらが体の中でどのような働きをするか、どんな栄養素を多く含んでいるか、という知識面についてより学習する必要性があるという調査結果であった。以上のことをふまえて、これからの指導計画を立てていきたい。

(3)情報機器等との活用
 コンピュータを活用することで、生徒自らが、たくさんの情報の中から自分が必要とする情報を判断し、選ぶことができる。従来よく展開した栄養黒板などを活用して指導する授業内容が、このソフトを活用すると、スムースに、迅速に、個々に応じて対応できる。加えて、買い物ソフトで、その献立に必要な食材を購入し、それぞれの食品の特徴を調べることができる。慣れない買い物の時間短縮にも役立つ。また、加工食品など添加物が多く含まれている食品について、実物が無くても、またそのパッケージを切りとって学校へ持ってこなくてもパソコンを通して確認することができる。さらに、一斉送信で、問題点を共有化したり、仲間のよい点を紹介することができる。その上、映像画面を通して、よりわかりやすく、楽しい学習が展開でき、生徒同士の情報も交換できる。授業の効率化を図るためのソフト活用に過ぎないが、時間数が短縮された分実習の時間を増やすなど他に活用できるので、本ソフトを用いた指導計画を立てている。

3.指導目標
   実践的・体験的な学習活動を通して、生活の自立に必要な衣食住に関する基礎的な知識と技術を    習得し、課題を持って生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。
(1)ア 生活の中で食事の果たす役割や、健康と食事とのかかわりについて知る。
イ 栄養素の種類と働きを知り、中学生の時期の栄養の特徴について考える。
   ウ 食品の栄養的特質を知り、中学生に必要な栄養を満たす1日の献立を考える。
(2)ア 食品の品質を見分け、用途に応じて適切に選択することができる。
   イ 簡単な日常食の調理ができる。
   ウ 食生活の安全と衛生に留意し、食品や調理器具などの適切な管理ができる。
B(4) ア 生活に必要な物資・サービスの適切な選択、購入及び活用ができる。
(5)ア 自分の食生活に関心をもち、日常食や地域の食材を生かした調理の工夫ができる。


4.指導計画〔A(1)アイウ(2)アイウ (5)ア B(4)ア〕 35時間

                                                
 指導項目 指導要領 学習活動・内容 指導上の留意点 評価の観点
・食事のとりかた を考えよう







・食品と栄養素の かかわりを知ろ う



・栄養素の働きを 知ろう

・何をどれくらい 食べたらよいだ ろう


・バランスのとれ た食事を考えよ う


・食品の選び方を 考えよう




・食事作りに挑戦 しよう





・食事のとりかた を考えよう

 
A(1)ア








A(1)イ





A(1)イ


A(1)イウ




A(1)ウ




A(2)ア
B(4)ア




A(2)イウ






A(5)ア


 
・自分の食生活を振り 返り、課題を把握す る。(予備調査)






・栄養のバランスをチ ェックする。

・食品の栄養素上の特 徴をまとめる。

・栄養素の種類とその 働きをまとめる。

・中学生の栄養所要量 を知る。
・中学生の食品群別摂 取量の目安を知る。

・1食分の献立を考え ることができる。
・1日の献立を考える。
 (パソコンソフトの活用)

・用途に応じた食品の 選択を考える。
・食品の表示やマーク の内容を知る。
 (パソコンソフトの活用)

・調理の流れと手順を 考え、まとめる。
・調理実習の計画を立 て、実習する。
・反省、評価する。
(パソコンソフトの活用)

・自分や家族の食生活 を振り返り、課題を 解決する。
 
・自分の食生活に問題はな いか考えさせる。
・健康を維持するためには 正しい食習慣が重要であ ることを理解させる。




・食品には様々な栄養素が 含まれていることを理解 させる。



・それぞれの栄養素の働き と食品名があげられるよ うにする。
・6つの基礎食品群を説明 し、1日分の食品群別摂 取量の目安を理解させる    

・食品群別摂取量のめやす を用いて、バランスのと れた1日分の献立を考え させる。

・食品を選択するための諸 条件を考えさせる。
・パソコンソフトで効率よ く学習する。


・安全で能率的な調理をす るための方法として、計 画から後始末までを考え させる。
・実習献立は、パソコンソ フトを活用する。

・食生活をより豊かなもの にするために、できるだ け身近な課題に着目させ る。
・食事の役割を考え、 食生活に関心を持と うとしているか。
       (関)
・自分の食生活をより よくする手だてが考 えられるか。(関・ 工・技)

・ひとつの食品にはい ろいろな栄養素が含 まれていることがわ かるか。(知)


・食品を栄養的特質に よって食品群に分け ることができるか。
      (技・知)




・献立作成をする中で 条件と手順がわかり 工夫できるか。
     (工・知)

・用途に応じて適切に 選択できるか。
       (技)



・積極的に調理を行う ことができるか。
        (技)




・課題解決のための工 夫ができるか。
        (工)
 
 

5.本時の計画
(1)本時の目標
・ バランスのとれた一食分の献立を考えることができ、用いる食品をその栄養的特質から6つ       の食品群に分類することができる。                (関・工・技・知)

・ 献立に用いる食品をPCソフトを活用して、適切に選択、購入することができる。(関・技)

(2)展開

         
  学 習 活 動 指導上の工夫と教師の支援 時配 評 価 項 目

 導 入 
 

・ソフト使用上の注意再確認

・今日活用する項目の連絡
    (ソフト@ー食卓編)
    (ソフトAー自由に買い物)
 

・扱い方をよく理解できていな い生徒を支援する。



 



5分


 






 



































 

・食品の栄養的な組み合わせ、主菜、 副菜、汁物の調和を考えながら、 一食分の献立を考えさせる。(朝、 昼、夕食のいずれか)









・自分で考えた献立は、6つの食品 群の食品がすべてはいっているか どうか確かめる。




・足りない食品群がある場合は、献 立の変更、追加を考える。
 @ 料理本から料理の選択
 A 食品から料理の選択






・TV画面で、プリントアウトし た、献立を提示し、一斉送信で、 ソフトAの活用方法を示す。

 

・条件として、すべての料理で はなくてもよいが、実習で調 理できる料理を組み合わせる よう伝える。
 予想される支援
1.ソフトの活用の仕方がわからな  い。
2.一食分の献立をしっかりとたて  られない。
3.栄養的な組み合わせを考えてい  ない。
4.自分が調理できるかどうか判断  していない。
・テーブルの料理に使われてい る食品を食品群引き出しに移 動するようにする。
・食品の分類が正しくできない と効果音がでて、その食品が 戻るので、引き出しに収まる までやり直すことを伝える。


 @は、食卓の料理の本から料  理を変更する方法
 Aは、台所の6つの食品群引 き出しの中で、不足している 食品の引き出しから食品、次 いで料理を選び、入れかえ、 または、追加する方法。

・ソフトAを開けない生徒がい る場合は支援する。
・売り場にない食品は抜かして もよいことを指示。
 















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・献立を作成する中で、 条件と手順がわかり工 夫できるか。
      (関・工・知)









・食品を栄養的特質によ って食品群に分けるこ とができるか。
       (技・知)













・用途に応じて、食品を 適切に購入、選択でき るか。
       (関・技)
 








 
 次時の確認
・それぞれが考えた献立をもとに、 調理計画を立てる。

・時間があれば、食品売り場に行っ て、食品の値段を見てくるよう連 絡。

 

・一人一人実習はできないので、 班の中で、実習可能な献立を 採用し、調理計画を立てるよ う指示。

・フロッピィディスクと献立用 紙は、次時に提出することを 連絡。



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(3)評価
・ バランスのとれた一食分の献立を考えることができ、用いる食品をその栄養的特質から6つ       の食品群に分類することができたか。                (関・工・技・知)

・ 献立に用いる食品をPCソフトを活用して、適切に選択、購入することができたか。(関・技)