第2学年技術・家庭科(技術分野)学習指導案
1.題材名 「A技術とものづくり」 マルチラックの製作
〜正確にのこぎりびきをしよう〜
2.題材について
中学校技術・家庭科学習指導要領では、「生活に必要な基礎的な知識と技術の習得を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育てる」ことを目標にしている。
すなわち、生活の中のいろいろな場面で、技術を活用できるようにするために、生活と技術との関わりについて深め、今までに習得した技術や知識を生かしながら、進んで創意・工夫し問題解決する態度が求められている。
現在、低価格の商品が世の中にあふれ、便利でものが不自由なく手に入る時代で生活しているために昔から築きあげてきたものづくりの歴史、必要から何かをつくり出そうとする創造力が薄れつつあるように感じる。
このような世の中だからこそ、ものづくりの中からつくる喜びやそこから考え出される創造力を生かした個性豊かな作品が製作できる。また自分の手で加工した作品を日常で使うことでものを大切にする心を育てられる。
こうしたことをふまえて題材を考えたとき、製作キットなどのある程度完成している製品では技能などは育てられるが、創造性を養うことは難しいと考えられる。
そこで学校研究主題の中にもある「自ら考える力」すなわち生徒一人一人の創造性を養い、生徒全員が完成する喜びを体験でき、より生徒が主体的、意欲的に取り組むことができることを考え、この題材を選択した。
この題材は木材と金属の融合教材で、杉角材(20×30×1800)とアルミ棒(φ6×1000)を用いて自分達の使用目的によって自由に作品を製作することができる。
板材を切断する体験は今後もあるが、角材を切断する体験はとても貴重なものと考える。また、金属では柔らかく加工しやすいことからアルミ棒を使った。これは、角材を固定したり、底板の代わりに金属棒を使うものである。釘やだぼなどで接合してもよいのだが、ぜひ生徒にねじきりの体験をしてもらいたいと考え使うことにした。
3.題材の目標
・積極的に作業に取り組むことができる。(意欲・関心・態度)
・木材や金属についての特徴や性質を理解している。(知識・理解)
・自分の使用目的に応じた作品を構想することができる。(創意・工夫)
・正しい手順で工具を正確に使うことができる。(生活の技能)
・安全に留意して作業ができる。(技能)
4.題材の観点別評価規準
・進んで技術の発展について理解しようとし、技術の習得のために意欲的に作業に取り組んでいる。(意欲・関心)
・自分の使用目的に合った作品を考え、作業を効率よくするために工具を工夫して使用している。(創意・工夫)
・安全に留意し、手順に沿って正確に作業ができる。(生活の技能)
・木材と金属の特徴を理解し、どのように技術が発展したか説明できる。(知識・理解)
5.題材の指導と評価計画
「A技術とものづくり」 マルチラックの製作
指導 時数 |
指導項目 | 観 点 別 評 価 規 準 | |||
関心・意欲・態度 | 創意工夫 | 生活の技能 | 知識・理解 | ||
判定基準 | 判定基準 | 判定基準 | 判定基準 | ||
1 |
技術と私たちの生活 |
・進んで技術の発展について 理解しようとしている。 A:過去と現在の技術の違いを例をあげて調べようとしている。 B:過去と現在の技術の違いについて調べようとしている。 |
・どのように技術が発達 したか説明できる。 A:筋道を立て説明できる。 B:技術の発達について理解している。 |
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1 |
木材と金属の比較 |
・進んで木材と金属を調べて いる。 A:身の回りにある製品に使われる木材や金属の特徴を調べようとしている。 B:木材や金属の特徴を調べようとしている。 |
・木材と金属の特徴 を説明できる。 A:身の回りにある製品に使われる木材や金属の特徴を説明できる。 B:木材や金属の特徴をあげることができる。 |
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2 |
設計の手順 加工法の検討 |
・設計の手順を知ろうとして いる。 A:製作に最適な工具や機器 を選択し、適切な使用方法を調べようとしている。 B:製作に必要な加工技術に関心を持ち、工具を調べようとしている。 |
・手順を理解し説明できる。 A:製作に最適な工具や機器について使用方法を説明できる。 B:製作に必要な工具について説明できる。 |
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9 |
構想のまとめ 構想図の描き方 (キャビネット図) |
・製作したいものを意欲的に考え目的とするものを表示しようとする。 A:使用目的や使用条件を満足する必要事項をまとめ、製作品の特徴として説明しようとしている。 B:製作品の使用目的や使用条件に沿った機能や構造を考えようとしている。 |
・自ら構想したもの の形を図に表すための工夫をする。 A:加工の状況や組み合わせ方など正確な図のかき方にするための工夫が見られる。 B:構想したものの形状が明確になるように工夫している。 |
・製作図をキャビネット図によって表示することができる。 A:製作品をキャビネット図で正確にかくことができる。 B:製作品の構想をキャビネット図でわかるようにかくことができる。 |
|
5 |
製作の準備 材料取り (けがき) |
・工程表を意欲的につくろう としている。 A:製作時間を考慮し工程表をつくろうとしている。 B:工程表をつくろうとしている。 ・積極的にけがきをしている。 A:きれいで正確にけがきをしようとしている。 B:正確にけがきをしようとしている。 |
・効率のよい作業手 順を考えられる。 A:部品を加工する時間を考慮してより効率のよい手順を考えている。 B:工夫してより分かりやすい工程表がつくられている。 |
・正確にさしがねを 使うことができる。 A:基準面にさしがねの内側をあて直線をひくことができる。 B:さしがねを使用して直線をひくことができる。 |
・さしがねの使い方を理 解している。 A:各部の名称や目盛りについて理解し、使用方法について説明できる。 B:さしがねの使用方法を説明できる。 |
5 |
のこぎりびき 弓のこびき |
・意識して正確に材料を切断しようとしている。 A:丁寧に切断しようとしている。 B:意欲的に切断しようとしている。 |
・工夫して切断している。 A:器具を使用し工夫して切断している。 B:友人から教えてもらいながら工夫して切断している。 |
・正確に切断することができる。 A:切断線に沿って切断でき、切断面が直角になっている。 B:切断線に沿って切断できる。 ・安全に留意する A:安全上注意しなければいけない点を確認している。 B:安全に留意し、危険を事前に考えることができる。 |
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本時 1 / 5 |
部品加工 穴あけ (ボール盤) ねじ切り |
・意欲的に作業をしている。 A:丁寧に穴あけをしようとしている。 B:積極的に穴あけをしようとしている。 ・意欲的に作業をしている。 A:丁寧におねじを切ろうとしている。 B:積極的におねじを切ろうとしている。 |
・手順に沿って正確 に作業ができる。 A:けがき線にドリルの刃を正確にあわせて、表面と穴の角度が直角になっている。 B:けがき線にドリルの刃をあわせて穴があけられている。 ・安全に留意することができる。 A:安全上注意しなければいけない点を確認している。 B:安全に留意し、危険を事前に考えることができる。 ・正確におねじが切れる。 A:ねじの部分にバリがなくまっすぐに加工できている。 B:ねじの部分がまっすぐに加工できている。 |
・ボール盤の構造を理解している。 A:ボール盤の構造や各部の名称について説明できる。 B:ボール盤の各部の名称をいえる。 ・おねじ切りの手順を理解している。 A:ダイスとダイスまわしの構造とおねじ切りの手順について説明できる。 B:おねじ切りの手順を説明できる。 |
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6 |
表面処理 (ニス、ワックス、焼き杉仕上げ) 組み立て |
・仕上がりをよくしようとしている。 A:丁寧に表面処理を行っている。 B:意欲的に表面処理を行っている。 ・ていねいに組み立てようとしている。 A:構想図を確認しながら意欲的に組み立てている。 B:意欲的に組み立てようとしている。 |
・安全に留意して作 業ができる。 A:安全上注意しなければいけない点を確認している。 B:安全に留意し、危険を事前に考えることができる。 ・正確に組み立てることができる。 A:仮組みをしてから適切な修正をしつつ、完成させている。 B:修正をしながら完成させることができる。 |
・表面処理について理解 している。 A:表面処理の必要性、方法や特徴などを説明できる。 B:表面処理の必要性を説明できる。 |
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1 |
これからの技術 (まとめ) |
・意欲的に感想を書いてい る。 A:これからの技術に関心を持ち、今まで習得してきたものを生かし、よりよい生活を送ろうとしている。 B:これからの技術に関心を持ち、今までの授業の感 想を書いている。 |
6.本時の指導 【総時数35時間 本時19/35時間】
(1)本時の目標
・意識して正確にのこぎりびきをしようとしている。(関心・意欲・態度)
・工夫してのこぎりびきを行おうとしている。(創意・工夫)
・正確にのこぎりびきができる。(生活の技能)
(2)本時の評価
指導項目 | 観 点 別 評 価 規 準 | |||
関心・意欲・態度 | 創意工夫 | 生活の技能 | 知識・理解 | |
判定基準 | 判定基準 | 判定基準 | 判定基準 | |
のこぎりびき |
・意識して正確に材料を切断 しようとしている。 A:丁寧に切断しようとして いる。 B:意欲的に切断しようとし ている。 |
・工夫して切断して いる。 A:器具を使用し工夫して切断している。 B:友人から教えてもらいながら工夫して切断している。 |
・正確に切断する ことができる。 A:切断線に沿って切断でき、切断面が直角になっている。る。 B:切断線に沿って切断できる。 ・安全に留意する A:安全上注意しなければいけない点を確認している。 B:安全に留意し、危険を事前に考えることができる。 |
(3)展開
☆:評価 ○:生徒や教師の活動・支援
過程 | 時配 | 活 動 の 内 容 | 支 援 や 評 価 な ど | 資料 |
導入 | 15分 | ○練習用の角材をのこぎりで切断する。 ・切断線に沿って切断しようとする。 ○プリントに記入する。 ○切断してどうなったか発表する。 ・切り始めがうまくいかなかった。 ・切断線からずれてまっすぐに切断で きなかった。 ・斜めに切断してしまった。 ・まっすぐに切断できた。 切り終わりに割れてしまった。 |
○ケガをしないように注意させる。 ・自分、他の生徒 ・特に切断の始めと終わり ○プリントに具体的に正確にできた理由(できなかった理由)をかかせる。 ○切断してどうなったか発表させる。 ・あらかじめチェックしておき、生徒から発表がない場合は指名する。(成功した生徒・失敗した生徒) |
教科書プリント |
展 開 |
15分 | ○課題を確認する。 ○どうしたら正確に切断できるか考えプリントに記入し、発表する。 ・よこびき用の刃を使う。 ・切りはじめにひきみぞをつくる。 ・切り終わりは他の人に材料を支えてもらう。 ・材料を真上から見る。 ・あて木をする。 等 |
○考えつかない生徒には教科書やノートを見るように支援する。 ・あまり出ないようならこちらから方 法を提示する。 ☆工夫して切断しようとしている。 (プリント・観察) |
プリント |
15分 | ○もう一度練習用の角材を切断する。 ・プリントを確認しながら切断する。 ・安全に注意しながら切断する。 ・見本と切断面を比べ自己評価する。 ・切断が終わった生徒はもう一度切断 してみる。 ○後片付けをする。 |
○ケガをしないように注意させる。 ○机間をまわり、個々に応じた支援 をする。 ・切断が終わった生徒にはもう一度切 断してみるよう促す。 ・しっかり材料を押さえているか。 ・材料を真上からみているか。 ・よこびき用の刃を使っているか。 ・切り始め、切り終わりに注意してい るか。 ☆正確にのこぎりびきをしようとしてい る。(観察) ☆工夫して切断している。(観察) ☆正確にのこぎりびきができる。(観察) |
見本の角材プリント |
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ま と め |
5分 | ○全体の評価を聞き、自己評価をする。 ・プリントに感想と自己評価を書く。 終わりのあいさつ |
○自分の今日の作業についてプリントに書こう。 ☆正確にのこぎりびきをしようとしている。(プリント) ☆工夫して切断している。(プリント) ☆正確にのこぎりびきができている。(プリント) ○次の授業の内容を説明する。 |
プリント |