第52回全日本中学校技術・家庭科研究大会
第52回関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会
第1分科会「A 材料と加工に関する技術」    


会場:船橋市立法田中学校

1.公開授業の様子

・本時の題材 「長く活用できるものをつくろう(ふた付き小箱をつくろう)」 

・授業の概要

塗装の二回目の授業である。ICT機器を十分に活用しながら,生徒にわかりやすい授業を展開した。特に,塗装面のざらつきの原因を視覚的に知らせ,毛羽取りの必要性を理解させた。そして,研磨と塗装を繰り返し,表面を平滑で美しく仕上げるだけでなく,耐水性・防汚性などを向上させることで長く使える作品を製作させようとするものである。また,作品に愛着を持たせ,完成後もメンテナンスなどをしながら,長く活用しようとする態度も身につけさせていきたいと考える。

塗装のしくみについて大型モニタで確認 書画カメラによるクローズアップ
書画カメラによるクローズアップ 会場外に授業の様子を中継
会場外に授業の様子を中継

2.授業研究・提案発表



・授業者の反省(船橋市立法田中学校 笹谷 修一 教諭)

 製作の最後の仕上げである塗装では,作品の善し悪しに仕上げの部分が大変重要であると考え,細かい部分にまで目を向けて取り組んできた。仕上がりの完成度はまだまだだったが,ほとんどの生徒が意欲的を持ち,完成後に製作品を使用している姿を想像して取り組んでいたと感じた。今後さらに,基礎・基本が着実に定着するように,船橋支部全体で取り組んでいきたい。

・提案・発表 「基礎的・基本的な知識及び技術を習得させるための学習指導の在り方」
         (船橋市立芝山中学校 本間 一郎 教諭)

 本支部では授業の充実を図ることにより,ものづくりに関する基礎的・基本的な知識及び技術の定着を目指すとともに指導計画と製作題材を工夫することで生活体験の減少への対応ができると考えた。なお,これらの取り組みが技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てることの出発点として重要な意味を持つと考える。

・質疑応答

 評価方法や安全への配慮、ICT機器の活用、題材のまとめ方、塗料の量などについての質問があった。


・指導・助言
 千葉大学教育学部准教授 木下 龍先生

  研究テーマの設定や指導計画、教育条件設備の充実のための組織的な取り組みについて、また、到達目標の設定の仕方などについてお話いただいた。


 船橋市教育委員会学校教育部指導課指導主事 斉藤 周平 先生

  船橋支部の研究の経緯や積極的に組織として研究に取り組んだ功績などについてお話いただいた。

3.提案発表・研究協議

 提案発表
・提案@「次代を担い,生き抜く力をはぐくむ学習指導の研究 −「A材料と加工に関する技術」における『技術を評価し活用する能力と態度』の育成を通して−」
 (埼玉県 川越市立富士見中学校 小林 幸典 教諭)

 「技術を適切に評価し活用する能力と態度」について整理し直し,学習指導法の研究を進めている。具体的には生徒の現状の改善につながるものとして,「ものづくりの設計・計画の場面」と「技術の評価・活用の場面」を関連づけ,言語活動の充実を通して「能力と態度」を育む学習指導法の研究を進めていきたい。

・提案A「技術を適切に評価し活用する能力と態度の育成 〜指導内容と指導方法の一般化を目指して〜」
 (東京都 国分寺市立第五中学校 原 泰介 教諭・府中市立府中第二中学校 丸島 俊博 教諭)

 3年間を見通した指導計画のもと,副題材の中で基礎的・基本的な知識や技術の確実な習得を図り,指導のねらいや流れがよりわかりやすいようなワークシートを使用することで,指導者の経験や指導スキルにかかわらず,どのような学習場面においても「技術を適切に評価し活用する能力と態度」について指導できると仮説を立てて研究している。

 研究協議
・提案@について、ハブダイナモを利用した水車の構想の広げ方やその効率の確かめ方に関する質問があった。

・提案Aについて、設計をしたあと、製作にどう結びつけていくのかという質問があった。


 指導助言
・埼玉県立総合教育センター指導主事 山本 智広 先生

 工具の活用に対して適切な評価や工夫・創造する力の評価についてご指導いただいた。

・東京都 国立市教育委員会学校指導課統括指導主事 三浦 利信 先生

 テクノロジーとスキルのや言語活動、副題材の重要性についてご指導いただいた。